8歳までに「見る力」を育てる、こどもの弱視・斜視・遠視の基礎知識
こどもの視力について
視力の発達の仕方
お子さまの「見える力」は生まれてからおよそ8年間かけて、ゆっくりと育っていく
まだ「霧の中」にいる赤ちゃん
生まれたばかりの赤ちゃんの世界は、まだ形がぼんやり見える程度。
視力の「グーンと伸びる」黄金期
3歳は、一生の視力を左右する大切な時期です。
生後から視覚が急激に発達し、視力は0.6〜0.9くらいまで大きく成長します!
この時期に「くっきり見る経験」を
たくさん積むことが、とても重要
ついに「ゴール」!大人と同じ視力へ
5歳くらいになると、視力は大人とほぼ同じ1.0以上に。
そして、6〜8歳前後で視力の発達はひと区切り(完成)を迎えます。
視力の発達に必要なこと
「見る力」は、「目」だけでなく、
「脳」の働きによって育ちます。
視力の発達には、単に「目がいい」こと以上に大切な仕組みがあります。
それは、目と脳のチームワークです。
脳は「コンピューター」
目はカメラのように光を取り込み、網膜にピントを合わせます。その映像は電気信号として脳へ届けられ、脳が正しく処理することで、はじめて「見える」と感じます。
が脳を育てる
視力の発達は、網膜にくっきりした映像を映し、脳へ正しい刺激を届けることが重要。映像がぼやけていると脳は十分な刺激を受け取れず、視力の発達が遅れてしまいます。
「ゴールデンタイム」は
8歳前後
脳が見る力を学習できる期間には限りがあり、視力の発達は3歳頃にピークを迎え、8歳前後には完成すると言われています。この時期に鮮明な映像を脳へ届けてあげることが、将来の視力を守るカギです。
治療用メガネが必要になる場合とは?
脳にクリアな映像を届け、
「見る力」を正しく育てる
どの症状であっても、治療用メガネの役割は同じです。それは、お子さまの目にくっきりとした映像を映し、脳に正しい刺激を届けること。脳がクリアな映像を受け取り続けることで「見る力」は育っていきます。
弱視(じゃくし)
弱視の原因は?
弱視の原因は、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。 一つは、先天性の白内障や眼瞼下垂(まぶたが下がっている状態)などの目の病気によって視界が遮られ、視力が発達しないものです。 もう一つは、視力が発達する大切な時期(おもに8歳頃まで)に、斜視や強い屈折異常(遠視・近視・乱視)がある場合です。両目とも常にピンボケの映像しか見ていなかったり、斜視などで片方の目だけを使わなくなったりすることで、脳の視覚を司る部分が十分に刺激されず、視力が育ちません。
弱視の治療はいつから?
視力発達は6歳~8歳(小学校低学年)頃には完成すると言われています。できるかぎり幼い頃に行ったほうが大きい効果が期待できると言われています。大切なことは早く発見して早く治療をおこなうことです。視力の発達期間を過ぎてしまうと治療の効果も低くなると考えられています。
まず、市町村が行う「3歳児健康診査(3歳児健診)」を受けましょう。
「弱視が治った」とは?
正しい屈折矯正をすれば1.0以上の視力がでる目になり、良好な両眼視の獲得ができたら、弱視が治ったと考えられています。ここでいう視力とは、あくまでも矯正視力のことであり、裸眼視力ではありません。
治療を中断すると、また弱視に戻ることもあるため、主治医の判断をしっかりとあおぎましょう。
メガネなしで
良くなることはあるの?
弱視治療は、お子様の目に合ったメガネをかけて正しくピントを合わせること(屈折矯正)が基本であり、メガネをかけずに視力が上がることはありません。では、視力が上がった後、メガネをしなくてもよくなるかというとどうでしょうか。弱視治療(視力を育てること)の目的だけで考えた場合、視力の成長が止まる年齢(おおよそ8〜10歳頃)を過ぎれば、治療としてのメガネは卒業となる場合もあります。ただし、外す時期は必ず眼科医の判断が必要です。
しかし、メガネをかけて1.0の視力が出るようになっても、遠視や近視、乱視などの「屈折異常」が完全に無くなるお子様はほんの一部です。遠視や乱視などが残っている状態でメガネを外してしまうと、はっきり見えなかったり、無理にピントを合わせようとして目に余計な負担がかかったりします。メガネをかけている方がすっきりとよく見え、目も疲れにくいため、視力の発達後も快適な生活をサポートするアイテムとして、メガネとのお付き合いが続くお子様は多くいらっしゃいます。
斜視(しゃし)
斜視の原因は?
斜視の原因はいろいろあって眼球を動かす筋肉や神経の病気、遠視、両眼視の異常、視力不良があげられます。
まず眼球を動かす筋肉や神経に病気がると、眼球の動きが悪くなったり、動かなくなったりして目の位置がずれ、斜視になります。両眼視とは、両目を使ってものを一つに見る働きのことです。両眼視も先にお話した視力と同じように、赤ちゃんがものを見る自然の訓練によりできあがっていきます。両眼視は生後一年ぐらいでその基礎ができあがり、六歳くらいで完成するといわれていますが、生まれつき両眼視ができなかったり、その発達が途中でうまくいかないと斜視になります。
斜視の治療は?
斜視の中でも『調節性内斜視』は、主に遠視のメガネをかけることで目の位置をまっすぐに整えることができます。それ以外の斜視については、種類や程度に応じて、プリズムメガネを用いたり、視能訓練を行ったり、必要に応じて手術を検討するなど、患者さんに合わせた治療を行います。
視力が良いのに、どうして
メガネが必要なのですか?
遠視の場合、遠くのものを見るためにも、目のいい人が近くのものを見るのと同じようにピントを合わせなければいけません。さらに近くのものを見るときは、その遠視に合わせて余分にピントを合わせる必要があります。この過剰なピント合わせが、目を内側に寄せてしまう原因になります。 したがってメガネは、余分なピント合わせをさせないために必要なのです。調節性内斜視では、遠視のメガネをかけていない時には片目(または両目)が極端に内に寄ってしまいますが、適切なメガネをかけるとまっすぐ(正常な位置)になります。
調節性内斜視では、遠視のメガネをかけていない時には片目が極端に内によっている(内斜視)が、メガネをかけるとまっすぐ(正常)になります。
遠視(えんし)
遠視は「遠くがよく見える目」と思われがちですが、実際には「どこを見るにもピント合わせに一生懸命な状態」です。お子様の眼球の奥行きがまだ短いために、光のピントが網膜の後ろで結ばれてしまうのが主な原因です。
常に目の筋肉をフル稼働させているため、疲れやすく、読書や勉強への集中力が続かないこともあります。強い遠視を放置すると、脳が「はっきり見る」ことを諦めて弱視に繋がるリスクも。適切なメガネで網膜にピントを届け、適切なメガネで網膜にピントを合わせ、「視る力(視覚)」の発達をサポートしてあげることが大切です。
近視(きんし)
近視は、近くのものははっきり見えるのに、遠くのものがぼやけて見える状態です。眼球の奥行きが長すぎたり、レンズの屈折が強すぎたりすることで、光のピントが網膜の手前で結ばれてしまうのが原因です。
子どもの場合、黒板の文字が見えにくいと学習や運動への意欲に影響が出るだけでなく、目を細めて見る癖がつくこともあります。適切なメガネで網膜に正しいピントを届けることが、お子様の健やかな成長と広い世界への好奇心を支える大切な第一歩となります。
乱視(らんし)
乱視は、黒目の表面(角膜)がラグビーボールのように歪んでいるため、光のピントが一箇所に集まらない状態です。遠くも近くも景色が二重に重なったり、ぼやけたりして見えます。
常にボヤけた映像が脳に届くと、脳が「くっきり見る」力を育てられず、弱視に繋がる恐れがあります。乱視の矯正には、一人ひとりに合わせてレンズの角度(乱視軸)を正確に調整することが非常に重要です。適切なメガネで、正しい光の刺激を継続的に絶やさず脳へ届け、お子様の健やかな視覚の発達を支えることが大事です。